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●2018年9月1日追記●
利便性を考えてこのたび新規ブログを作成しました。
ゴブリン日記
https://mtg-life.net/
作成から日が浅いのでまだまだ至らない点ばかりですが、どうぞよろしくお願いします。
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コンスピラシー:王位争奪のプレビューウィークが月曜日から始まりました。
コジレックの審問、白くなった帝国の徴募兵(護衛募集員)、血清の幻視、生きた虚空の杯(聖域の僧院長)、Berserkなどなど・・・
今回のコンスピラシーはエターナルフォーマットへの影響が非常に大きく、次々と実用的なカードが発表され世間を賑わせています。
そんなところにやってきたのが騒乱の発端、グレンゾです。
近年はもはやハブられることが個性となりつつあったゴブリンという種族において、まさかここまで実用的な新戦力が刷られるとは一体誰が予想できたでしょうか。
自分も今朝起きてこのカードを見た時は眠気がすっ飛んで変な声が出ましたね。
今回はこの新しいグレンゾの登場によってレガシーのゴブリンはどうなってしまうのか考察したいと思います。
使嗾・・・あなたの次のターンまで、そのクリーチャーは可能ならば各戦闘で攻撃に参加し、可能ならあなたでないプレイヤーを攻撃する
●マナコスト
2年前に旧グレンゾが発表された際の考察記事( http://aiueoaiueo.diarynote.jp/201406202004285058/ )で「グレンゾが赤単色であれば最高だったのにー」と書いたのですが、そのフラグが今になってようやく回収されました。
旧グレンゾは2ターン目の安定運用を目指すなら黒マナソース11枚・赤マナソース18枚をクリアしなければなりませんでした。
ただ、その当時から現在までゴブリンにとって必要不可欠な黒いカードといえばヤスデ団だけであり、わざわざグレンゾのためだけに黒マナソースをヤスデ団運用に必要な9枚から1枚に増やすのはリスクに対するリターンがあまり見合っていませんでした。
それだけでなく不毛デッキかもしれない相手に対して2ターン目Badlandsを置かなければならないリスクも見た目以上に重く、事故死のリスクも常に抱えていました。
そういう事情から多くのゴブリン使いは旧グレンゾに見切りをつけていたのですが、赤単色であればそれら悩みからは解放されます。
もちろん、赤マナソースを18枚は入れなければならない点は旧グレンゾや巣穴の煽動者と同じですが、黒→赤になるだけで負担は激減します。
もっと欲を出すとシングルシンボルにしてほしかった感もありますが、そうすると灰色熊の上位互換になってしまうので今の赤でそれは許されないでしょう。
赤黒から赤単色になっただけでも原人→ホモサピエンスくらいの大進歩です。
新グレンゾを採用するのであれば不毛の大地・リシャーダの港を7枚から5枚まで減らさなくてはなりませんが、新グレンゾの実力が本物であればそれをする価値も大アリだと思います。
●パワー/タフネス
今まで多くのゴブリンはマナレシオが1を割っているのが普通でした。ゴブリンの群衆追いしかり、ゴブリンの戦長しかり。ゴブリンの女看守に至っては3マナ1/1という超貧弱ボディです。
ゴブリンというデッキがレガシー環境下で衰退した理由はいくつもありますが、その一番の理由は現代のハイスペックなクリーチャー群についていけなくなった点であることは間違いありません。
特に、石鍛冶の神秘家や死儀礼のシャーマンのタフネス2にはどれだけ泣かされたことか・・・!
たった1体の石鍛冶・死儀礼にこちらの1/1を全てをビタ止めされてそこから捲られるゲームはゴブリンユーザーであれば誰しも一度は体験したことがあると思います。
多くのデッキは石鍛冶・死儀礼のタフネス2なんてまるで苦にしていませんが、旧枠だらけのゴブリンからしたらこれが大きな悩みの種だったわけです。
そんなゴブリンユーザーの悩みがようやく開発にも届いたのか、新グレンゾのP/Tは赤単色になったにも関わらず旧グレンゾから据え置き2/2の新設設計です。
石鍛冶の神秘家を超えるどころか、(相手がW①をケチれば)使嗾能力でバンザイアタックさせて一方的に打ち取ることすら可能です。
Zガンダムでガンダムに乗った主人公が生身の人間に対して「そこのMP!一方的に殴られる、痛さと怖さを教えてやろうか!」と恫喝するシーンがありましたが、気分はまさにあんな感じ。
また、タフネス2というラインはサイドからの1点除去や若き紅蓮術師のトークンにも耐性があるため2マナ生物としては上出来といえます。
これが仮に2/1だったら評価もガクッと下がったのですがWizardsも最近になってようやく行き過ぎた赤不遇の穴埋めを始めてくれたと解釈していいのでしょうか。
●使嗾
いわゆる強制アタック付与です。これが機能しはじめれば強制的にダメージレースに持ち込めます。
ゴブリンデッキにはゴブリンの従僕やゴブリンの群衆追いのようなブロッカーに退いておいてほしいクリーチャーが複数枚居るので一見すると有用かに思えます。
しかし、こちらのデッキにタルモゴイフのようなファッティはいないので相手クリーチャーをバンザイアタックさせることはあまりできませんし、近年のクリーチャーはどれもパワフルなので使嗾されようがされまいが殴ってくるケースも少なくないでしょう。
デスタクのようなシステムクリーチャーを多用するデッキ相手でもない限り、見た目ほどの仕事はしないかもしれません。
そもそも、この使嗾能力が本当に有用なものであればゴブリンの外交官も少しは使われてても良さそうですが、実際は全く使われていません。その前例からして、使嗾はゴブリンにはあまりマッチしていない能力かもしれません。
タルモで地上を止めてデルバーで空から殴るRUG Delverのようなテンポデッキ相手には仕事をするかもしれませんが、残念ながら現在のテンポデッキの主流はグリクシスデルバーなので大きな効果は期待できないかもしれません。
その他Tier1のクリーチャーを用いたデッキ(BUGカスケード・エルドラージあたり)もクリーチャーをそれなりに展開するデッキです。
なので壁役のクリーチャーに使嗾を付与しても返しのターンで別のクリーチャーを展開してこちらは殴りに行けず・・・なんてケースも多そうです。
※ただし、棘鞭使いでブロッカーAをバウンス→アタック使嗾誘発でクリーチャーBを攻撃強制→棘鞭使いでチャンプ、という使い方はとても強いと思います。エルドラージなどのこちらより早い相手に押されていた盤面の攻防を入れ替える際のキープレイになりそうです。
使嗾能力は駄目、とまでは思いませんが、棘鞭使いと同じ程度には時と場合を選ぶ能力ではないかと思います。
●衝動的ドロー
衝動的ドローについてはこちら↓を
衝動的ドローは騒乱の発端、グレンゾの目玉です。
グレンゾの衝動的ドローは夜帳の死霊と違って土地は奪えなかったり、ターンを跨いでキャストすることはできませんが、タダでカード1枚分のアドバンテージを(それも多面的・持続的に!)得られる可能性がある時点でとても魅力的です。
唯一の欠点としてドロー操作やカウンターを使う青系デッキ(特にミラクル)にはまともに機能しない点が挙げられますが、青いデッキは元から相性が良いので気合いで何とかなるでしょう。
ゴブリンはテンポデッキのようにマナを切り詰めているわけではありません。むしろ積極的にマナを伸ばしていくデッキなので捲ったスペルがキャストできないケースは稀でしょう。
そして何よりゴブリンというデッキはゴブリンの女看守があるとはいえ出来ることは意外と少ない、ので相手のデッキの力を借りてやりたいけど実現できなかった事が出来るようになれば怖いものは無くなります。
具体的にはタルモを2マナでそつなく除去したり、1マナでハンドを増やしつつ次ターンの首謀者のヒット率を上げるプレイなどはゴブリンがやりたくてもデッキの構造上出来なかったことです。
もちろんスペル限定でなくともクリーチャーも捲れ方次第ではとても強力です。
グレンゾのサボタージュ能力はゴブリン以外にも付与されるので、例えば悪意の大梟が捲れれば次ターン以降は延々と衝動的ドローをかますことが可能です。
タルモが捲れれば相手はお見合いに持ち込むか本来はグレンゾに撃ちたい除去をタルモに撃たない限り盤面の主導権を取り戻すことは困難でしょう。
セラの報復者のようなゴブリン的にはやり辛いクリーチャーもディスアド無しで相打ちで対処できるのはありがたいですね。
一度でも強いクリーチャーが捲れてしまえば相手はそれへの対処に強いカードを使わなければならないので、それだけグレンゾ・稲妻造り師・クレンコといったこちらの本命の生存率は上がります。
秘密を掘り下げる者や若き紅蓮術師のようなシナジー前提のクリーチャーは捲れても旨味がありませんが、現代マジックはシナジーより単純なカードパワーを優先したクリーチャーの方が圧倒的に多いので、心配するほどではなさそうです。
最初にこの衝動的ドローを見た時はターンを跨げないことがとても弱く思えました。
しかし、プレイできるカードは自分のデッキに入った旧枠の雑魚カードではなく新枠の強力カードばかりなので、恐らく旧グレンゾの2マナ起動能力より強力だとすら思います。
2ターン目グレンゾ、3ターン目に女看守キャスト→スタックで3マナ出してサーチしたヤスデ団を徘徊、なんていう異次元ムーブにはトキメキを感じずにはいられませんし、8点ペイしてグリセルブランドをパクッてそのまま勝ち!なんてゲームを100回に1回くらいはあるかもしれません。
相手のデッキ内のスペルが自分のものになる可能性があるのだから、これほど面白そうな能力は中々ありません。
ただし、この能力を100%美味しく使いこなすにはミラクルにおける相殺と同じで相手のデッキに何が入っていているかをきちんと把握していなければいけないので使用者の腕と知識が問われそうです。
●サボタージュ能力の全体付与
超強い。
こちらのアタックにグレンゾへの除去を合わせられたら単なるのバンザイアタック+数点のダメージになってしまいますが、それを差し引いてもサボタージュ能力の全体付与は超強いと思います。
強いと思った理由は三つ。
まず第一にこれがあるお陰で普通のゲームであればゴブリンの酋長や群衆追いに飛んでくるであろう除去をグレンゾが引き受ける避雷針としての役割が期待できます。
そして第二にエルドラージ対策のために増やしたいけどエルドラージ以外には強くないモグの戦争司令官や、強いもののアド損が結構馬鹿にできないPyrokinesisを増量する言い訳になったりします。
他にもくすぶる尖塔やゴブリンの熟練煽動者などのハマれば強いものの一癖も二癖もあるカードと相性がいいのでグレンゾを基軸にデッキを大幅改良するのも面白そうです。
そして第三に(これが一番凄いと思うのですが)サボタージュ能力の全体付与は対戦相手に「1体でも攻撃を通せばアドを取られてしまうかも・・・」という心理的プレッシャーを与えるので、アタックを躊躇わせて結果的にロングゲームに持ち込む働きが期待できます。
強力デッキがひしめく昨今のレガシー環境ですが、今でもゴブリン相手に長期戦を積極的に挑みたいフェアデッキは少ないものです。
そういう意味で、相手にアタックを躊躇わせてゲームを間延びさせるサボタージュ能力の全体付与は表立つことはなくても、ゲームの主導権をじりじりゴブリン側に持っていってくれる陰の功労者として活躍するのではないかと思います。
もしかしたら使嗾や擬似ドローよりも、サボタージュ能力を全体に付与するという事実が新グレンゾの一番の強みなのかもしれません。
●騒乱の発端、グレンゾ まとめ
グレンゾといえば2年前に初登場した際に赤でマナレシオ1を割らない史上初のX/Xクリーチャーとしてちょっとした話題になりました。
自分もこれには大いに心が躍りました。
2ターン目に灰色熊としてプレイしても良し、終盤に5マナ5/5くらいでシルバーバックとして運用しても良し。おまけに放置すれば永続的にアドを稼ぎ出す生物として、発表当初は非常に有力視されていました。
ところがいざ実際に使ってみると2ターン目にRBを捻出するのが難しく、また、能力を起動してもアタリが出る確率が思いのほか低い(体感的には1/4くらい)せいで、中々結果を残せずいつの間にかその存在を忘れ去られてしまいました。
自分もSCGでグレンゾを使ったゴブリンが入賞したのを見た時はあまりの衝撃にブログを更新したくらいですし。
↓
とにかく地下牢の管理人、グレンゾはそれくらい使われていませんでした。
しかし、今回の新しくなったグレンゾは上で考察したように旧グレンゾとは一味も二味も違います。
そのため今回の新グレンゾは旧グレンゾとよりも使われる可能性は圧倒的に高いと思います。
今のところ、自分の脳内シュミレーションでは盤面勝負をするクリーチャーデッキ相手には相当強い、ということになっています。
少なくとも2マナクリーチャーに与えていい能力ではないと確信するくらいには強いです。(4マナくらいでオンスロートあたりに収録されてればネタ程度にはなってたと思います。)
これまで1.5軍くらいで燻っていた各種ゴブリンカードと悉く相性が良いので、もしかしたらこれを基軸にした新しい型のゴブリンが登場するかもしれませんし、そうでなくても単純にデッキ適当に突っ込んで運用するだけでも楽しめそうです。
強さ云々はこれから次第に判明するとして、構築意欲がここまで刺激されるゴブリンカードは今まで見たことがありません。
調整を続ける過程で従来のオーソドックスな型の方が強かったという結論に至る可能性もありますが、少なくともGP千葉まではだらだらと新しくなったグレンゾの可能性について追及していこうと思います。
●8月20日(土)追記
一人回しでグレンゾを使った感想
・ゴブリンデッキのプレイングは簡単。だけど、グレンゾはカードはそのものの使い方が難しい。
・今までクレンコやクラフターをゴールに設定してれば9割方間違いなかったゲームプランに変化が出た
・グレンゾが場に出ると自分だけでなく、相手も沢山ミスプレイをしそう。
・序盤は使嗾連打
・ハンドが強ければ使嗾連打
・衝動的ドローはアタリが出る確率をきちんと推し量れないと使いこなせないので、環境に存在するデッキのリストを頭に叩き込まないといけない
・衝動的ドローで飛行が捲れたら祭
・棘鞭でクリーチャーAを退かして使嗾誘発でクリーチャーBと相打ちさせるメチャ強ムーブ。序盤の棘鞭がテンポ取りつつディスアドにならなくなる快挙
・1積の土地を相手の輪作でサーチ。1積の万力鎖を石鍛冶でサーチなどなど。最高に遊べるオモチャ。 可能性の塊
・ミラクル相手には灰色熊以下。棘鞭使いやタクタクの潰し屋よりも弱いまである
●2018年9月1日追記●
利便性を考えてこのたび新規ブログを作成しました。
ゴブリン日記
https://mtg-life.net/
作成から日が浅いのでまだまだ至らない点ばかりですが、どうぞよろしくお願いします。
------------------------
コンスピラシー:王位争奪のプレビューウィークが月曜日から始まりました。
コジレックの審問、白くなった帝国の徴募兵(護衛募集員)、血清の幻視、生きた虚空の杯(聖域の僧院長)、Berserkなどなど・・・
今回のコンスピラシーはエターナルフォーマットへの影響が非常に大きく、次々と実用的なカードが発表され世間を賑わせています。
そんなところにやってきたのが騒乱の発端、グレンゾです。
近年はもはやハブられることが個性となりつつあったゴブリンという種族において、まさかここまで実用的な新戦力が刷られるとは一体誰が予想できたでしょうか。
自分も今朝起きてこのカードを見た時は眠気がすっ飛んで変な声が出ましたね。
今回はこの新しいグレンゾの登場によってレガシーのゴブリンはどうなってしまうのか考察したいと思います。
騒乱の発端、グレンゾ/Grenzo,Havoc Raiser (赤)(赤)
伝説のクリーチャー ゴブリン(Goblin)・ならず者(Rogue)
あなたがコントロールするクリーチャー1体がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、以下から1つを選ぶ
・そのプレイヤーがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それを使嗾する
・そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードを追放する。ターン終了時まであなたは任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってそのカードをプレイしてもよい。
2/2
http://mtg-jp.com/reading/translated/bb/0017366/#
使嗾・・・あなたの次のターンまで、そのクリーチャーは可能ならば各戦闘で攻撃に参加し、可能ならあなたでないプレイヤーを攻撃する
●マナコスト
2年前に旧グレンゾが発表された際の考察記事( http://aiueoaiueo.diarynote.jp/201406202004285058/ )で「グレンゾが赤単色であれば最高だったのにー」と書いたのですが、そのフラグが今になってようやく回収されました。
旧グレンゾは2ターン目の安定運用を目指すなら黒マナソース11枚・赤マナソース18枚をクリアしなければなりませんでした。
ただ、その当時から現在までゴブリンにとって必要不可欠な黒いカードといえばヤスデ団だけであり、わざわざグレンゾのためだけに黒マナソースをヤスデ団運用に必要な9枚から1枚に増やすのはリスクに対するリターンがあまり見合っていませんでした。
それだけでなく不毛デッキかもしれない相手に対して2ターン目Badlandsを置かなければならないリスクも見た目以上に重く、事故死のリスクも常に抱えていました。
そういう事情から多くのゴブリン使いは旧グレンゾに見切りをつけていたのですが、赤単色であればそれら悩みからは解放されます。
もちろん、赤マナソースを18枚は入れなければならない点は旧グレンゾや巣穴の煽動者と同じですが、黒→赤になるだけで負担は激減します。
もっと欲を出すとシングルシンボルにしてほしかった感もありますが、そうすると灰色熊の上位互換になってしまうので今の赤でそれは許されないでしょう。
赤黒から赤単色になっただけでも原人→ホモサピエンスくらいの大進歩です。
新グレンゾを採用するのであれば不毛の大地・リシャーダの港を7枚から5枚まで減らさなくてはなりませんが、新グレンゾの実力が本物であればそれをする価値も大アリだと思います。
●パワー/タフネス
今まで多くのゴブリンはマナレシオが1を割っているのが普通でした。ゴブリンの群衆追いしかり、ゴブリンの戦長しかり。ゴブリンの女看守に至っては3マナ1/1という超貧弱ボディです。
過去記事:レガシーのゴブリンデッキで女看守が一番弱い3つの理由
http://aiueoaiueo.diarynote.jp/201407022111209847/
ゴブリンというデッキがレガシー環境下で衰退した理由はいくつもありますが、その一番の理由は現代のハイスペックなクリーチャー群についていけなくなった点であることは間違いありません。
特に、石鍛冶の神秘家や死儀礼のシャーマンのタフネス2にはどれだけ泣かされたことか・・・!
たった1体の石鍛冶・死儀礼にこちらの1/1を全てをビタ止めされてそこから捲られるゲームはゴブリンユーザーであれば誰しも一度は体験したことがあると思います。
多くのデッキは石鍛冶・死儀礼のタフネス2なんてまるで苦にしていませんが、旧枠だらけのゴブリンからしたらこれが大きな悩みの種だったわけです。
そんなゴブリンユーザーの悩みがようやく開発にも届いたのか、新グレンゾのP/Tは赤単色になったにも関わらず旧グレンゾから据え置き2/2の新設設計です。
石鍛冶の神秘家を超えるどころか、(相手がW①をケチれば)使嗾能力でバンザイアタックさせて一方的に打ち取ることすら可能です。
Zガンダムでガンダムに乗った主人公が生身の人間に対して「そこのMP!一方的に殴られる、痛さと怖さを教えてやろうか!」と恫喝するシーンがありましたが、気分はまさにあんな感じ。
また、タフネス2というラインはサイドからの1点除去や若き紅蓮術師のトークンにも耐性があるため2マナ生物としては上出来といえます。
これが仮に2/1だったら評価もガクッと下がったのですがWizardsも最近になってようやく行き過ぎた赤不遇の穴埋めを始めてくれたと解釈していいのでしょうか。
●使嗾
いわゆる強制アタック付与です。これが機能しはじめれば強制的にダメージレースに持ち込めます。
ゴブリンデッキにはゴブリンの従僕やゴブリンの群衆追いのようなブロッカーに退いておいてほしいクリーチャーが複数枚居るので一見すると有用かに思えます。
しかし、こちらのデッキにタルモゴイフのようなファッティはいないので相手クリーチャーをバンザイアタックさせることはあまりできませんし、近年のクリーチャーはどれもパワフルなので使嗾されようがされまいが殴ってくるケースも少なくないでしょう。
デスタクのようなシステムクリーチャーを多用するデッキ相手でもない限り、見た目ほどの仕事はしないかもしれません。
そもそも、この使嗾能力が本当に有用なものであればゴブリンの外交官も少しは使われてても良さそうですが、実際は全く使われていません。その前例からして、使嗾はゴブリンにはあまりマッチしていない能力かもしれません。
ゴブリンの外交官/Goblin Diplomats (1)(赤)
クリーチャー ゴブリン(Goblin)
(T):このターン、各クリーチャーは可能なら攻撃する。
2/1
http://whisper.wisdom-guild.net/card/Goblin+Diplomats/
タルモで地上を止めてデルバーで空から殴るRUG Delverのようなテンポデッキ相手には仕事をするかもしれませんが、残念ながら現在のテンポデッキの主流はグリクシスデルバーなので大きな効果は期待できないかもしれません。
その他Tier1のクリーチャーを用いたデッキ(BUGカスケード・エルドラージあたり)もクリーチャーをそれなりに展開するデッキです。
なので壁役のクリーチャーに使嗾を付与しても返しのターンで別のクリーチャーを展開してこちらは殴りに行けず・・・なんてケースも多そうです。
※ただし、棘鞭使いでブロッカーAをバウンス→アタック使嗾誘発でクリーチャーBを攻撃強制→棘鞭使いでチャンプ、という使い方はとても強いと思います。エルドラージなどのこちらより早い相手に押されていた盤面の攻防を入れ替える際のキープレイになりそうです。
使嗾能力は駄目、とまでは思いませんが、棘鞭使いと同じ程度には時と場合を選ぶ能力ではないかと思います。
●衝動的ドロー
衝動的ドローについてはこちら↓を
Making Magic -マジック開発秘話-
龍詞に魅せられて その1
http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0014511/#
衝動的ドローは騒乱の発端、グレンゾの目玉です。
グレンゾの衝動的ドローは夜帳の死霊と違って土地は奪えなかったり、ターンを跨いでキャストすることはできませんが、タダでカード1枚分のアドバンテージを(それも多面的・持続的に!)得られる可能性がある時点でとても魅力的です。
唯一の欠点としてドロー操作やカウンターを使う青系デッキ(特にミラクル)にはまともに機能しない点が挙げられますが、青いデッキは元から相性が良いので気合いで何とかなるでしょう。
ゴブリンはテンポデッキのようにマナを切り詰めているわけではありません。むしろ積極的にマナを伸ばしていくデッキなので捲ったスペルがキャストできないケースは稀でしょう。
そして何よりゴブリンというデッキはゴブリンの女看守があるとはいえ出来ることは意外と少ない、ので相手のデッキの力を借りてやりたいけど実現できなかった事が出来るようになれば怖いものは無くなります。
具体的にはタルモを2マナでそつなく除去したり、1マナでハンドを増やしつつ次ターンの首謀者のヒット率を上げるプレイなどはゴブリンがやりたくてもデッキの構造上出来なかったことです。
もちろんスペル限定でなくともクリーチャーも捲れ方次第ではとても強力です。
グレンゾのサボタージュ能力はゴブリン以外にも付与されるので、例えば悪意の大梟が捲れれば次ターン以降は延々と衝動的ドローをかますことが可能です。
タルモが捲れれば相手はお見合いに持ち込むか本来はグレンゾに撃ちたい除去をタルモに撃たない限り盤面の主導権を取り戻すことは困難でしょう。
セラの報復者のようなゴブリン的にはやり辛いクリーチャーもディスアド無しで相打ちで対処できるのはありがたいですね。
一度でも強いクリーチャーが捲れてしまえば相手はそれへの対処に強いカードを使わなければならないので、それだけグレンゾ・稲妻造り師・クレンコといったこちらの本命の生存率は上がります。
秘密を掘り下げる者や若き紅蓮術師のようなシナジー前提のクリーチャーは捲れても旨味がありませんが、現代マジックはシナジーより単純なカードパワーを優先したクリーチャーの方が圧倒的に多いので、心配するほどではなさそうです。
最初にこの衝動的ドローを見た時はターンを跨げないことがとても弱く思えました。
しかし、プレイできるカードは自分のデッキに入った旧枠の雑魚カードではなく新枠の強力カードばかりなので、恐らく旧グレンゾの2マナ起動能力より強力だとすら思います。
2ターン目グレンゾ、3ターン目に女看守キャスト→スタックで3マナ出してサーチしたヤスデ団を徘徊、なんていう異次元ムーブにはトキメキを感じずにはいられませんし、8点ペイしてグリセルブランドをパクッてそのまま勝ち!なんてゲームを100回に1回くらいはあるかもしれません。
相手のデッキ内のスペルが自分のものになる可能性があるのだから、これほど面白そうな能力は中々ありません。
ただし、この能力を100%美味しく使いこなすにはミラクルにおける相殺と同じで相手のデッキに何が入っていているかをきちんと把握していなければいけないので使用者の腕と知識が問われそうです。
●サボタージュ能力の全体付与
超強い。
こちらのアタックにグレンゾへの除去を合わせられたら単なるのバンザイアタック+数点のダメージになってしまいますが、それを差し引いてもサボタージュ能力の全体付与は超強いと思います。
強いと思った理由は三つ。
まず第一にこれがあるお陰で普通のゲームであればゴブリンの酋長や群衆追いに飛んでくるであろう除去をグレンゾが引き受ける避雷針としての役割が期待できます。
そして第二にエルドラージ対策のために増やしたいけどエルドラージ以外には強くないモグの戦争司令官や、強いもののアド損が結構馬鹿にできないPyrokinesisを増量する言い訳になったりします。
他にもくすぶる尖塔やゴブリンの熟練煽動者などのハマれば強いものの一癖も二癖もあるカードと相性がいいのでグレンゾを基軸にデッキを大幅改良するのも面白そうです。
そして第三に(これが一番凄いと思うのですが)サボタージュ能力の全体付与は対戦相手に「1体でも攻撃を通せばアドを取られてしまうかも・・・」という心理的プレッシャーを与えるので、アタックを躊躇わせて結果的にロングゲームに持ち込む働きが期待できます。
強力デッキがひしめく昨今のレガシー環境ですが、今でもゴブリン相手に長期戦を積極的に挑みたいフェアデッキは少ないものです。
そういう意味で、相手にアタックを躊躇わせてゲームを間延びさせるサボタージュ能力の全体付与は表立つことはなくても、ゲームの主導権をじりじりゴブリン側に持っていってくれる陰の功労者として活躍するのではないかと思います。
もしかしたら使嗾や擬似ドローよりも、サボタージュ能力を全体に付与するという事実が新グレンゾの一番の強みなのかもしれません。
●騒乱の発端、グレンゾ まとめ
グレンゾといえば2年前に初登場した際に赤でマナレシオ1を割らない史上初のX/Xクリーチャーとしてちょっとした話題になりました。
自分もこれには大いに心が躍りました。
2ターン目に灰色熊としてプレイしても良し、終盤に5マナ5/5くらいでシルバーバックとして運用しても良し。おまけに放置すれば永続的にアドを稼ぎ出す生物として、発表当初は非常に有力視されていました。
ところがいざ実際に使ってみると2ターン目にRBを捻出するのが難しく、また、能力を起動してもアタリが出る確率が思いのほか低い(体感的には1/4くらい)せいで、中々結果を残せずいつの間にかその存在を忘れ去られてしまいました。
自分もSCGでグレンゾを使ったゴブリンが入賞したのを見た時はあまりの衝撃にブログを更新したくらいですし。
↓
【珍事】SCGO Legacy Classic(1/24/2016)で歪める嘆きとグレンゾをメインに積んだゴブリンが優勝する
http://aiueoaiueo.diarynote.jp/201601251204069235/
とにかく地下牢の管理人、グレンゾはそれくらい使われていませんでした。
しかし、今回の新しくなったグレンゾは上で考察したように旧グレンゾとは一味も二味も違います。
そのため今回の新グレンゾは旧グレンゾとよりも使われる可能性は圧倒的に高いと思います。
今のところ、自分の脳内シュミレーションでは盤面勝負をするクリーチャーデッキ相手には相当強い、ということになっています。
少なくとも2マナクリーチャーに与えていい能力ではないと確信するくらいには強いです。(4マナくらいでオンスロートあたりに収録されてればネタ程度にはなってたと思います。)
これまで1.5軍くらいで燻っていた各種ゴブリンカードと悉く相性が良いので、もしかしたらこれを基軸にした新しい型のゴブリンが登場するかもしれませんし、そうでなくても単純にデッキ適当に突っ込んで運用するだけでも楽しめそうです。
強さ云々はこれから次第に判明するとして、構築意欲がここまで刺激されるゴブリンカードは今まで見たことがありません。
調整を続ける過程で従来のオーソドックスな型の方が強かったという結論に至る可能性もありますが、少なくともGP千葉まではだらだらと新しくなったグレンゾの可能性について追及していこうと思います。
●8月20日(土)追記
一人回しでグレンゾを使った感想
・ゴブリンデッキのプレイングは簡単。だけど、グレンゾはカードはそのものの使い方が難しい。
・今までクレンコやクラフターをゴールに設定してれば9割方間違いなかったゲームプランに変化が出た
・グレンゾが場に出ると自分だけでなく、相手も沢山ミスプレイをしそう。
・序盤は使嗾連打
・ハンドが強ければ使嗾連打
・衝動的ドローはアタリが出る確率をきちんと推し量れないと使いこなせないので、環境に存在するデッキのリストを頭に叩き込まないといけない
・衝動的ドローで飛行が捲れたら祭
・棘鞭でクリーチャーAを退かして使嗾誘発でクリーチャーBと相打ちさせるメチャ強ムーブ。序盤の棘鞭がテンポ取りつつディスアドにならなくなる快挙
・1積の土地を相手の輪作でサーチ。1積の万力鎖を石鍛冶でサーチなどなど。最高に遊べるオモチャ。 可能性の塊
・ミラクル相手には灰色熊以下。棘鞭使いやタクタクの潰し屋よりも弱いまである
コメント
聖域の僧院長は3マナ2/2が刺さらない相手に当たったとき許容できないレベルで弱いので、今は過大評価されているように感じます。なのでこれも調整の過程で次第に減っていくと思います。最終的にはサイドに枠が空いたら入れる程度の存在に落ち着くのではないでしょうか。
正直な話、ゴブリン的にはどちらもガンガン使ってほしい類のカードです。